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コラム

シニア犬の食欲を取り戻すために試したい9つの方法

シニア犬がごはんを食べない時の原因と対処法ガイド

この記事でわかること

シニア犬がごはんを食べなくなる原因や見逃せないサイン、家庭でできる具体的な工夫、注意すべき病気の兆候、そして食事管理のポイントを解説します。

目次を表示

はじめに:シニア犬の「食べない」は見逃せないサイン

シニア犬の食欲は健康のバロメーター

年齢を重ねた愛犬が、突然ごはんを残すようになったとき、まったく口にしなくなったとき、飼い主としてはとても心配になりますよね。 犬にとっての「食欲」は健康状態を映す鏡のような存在です。特にシニア犬は、体力や感覚機能が若い頃に比べて落ちてくるため、小さな変化に敏感です。 そのため、「食べない」という行動の裏には、体調不調や環境の変化など、多少の原因が潜んでいる可能性があります。 普段の様子と違うと感じたときは、それなりに観察することが大切です。

「うちの子はグルメだから…」「わがままで気まぐれなんです」と思ってしまう方もいるかも知れません。でも、シニア犬にとっての「食べない」は、ただ好みの問題ではない場合も多く見られます。

なぜシニア犬はごはんを食べなくなるのか?

加齢による味覚・嗅覚・筋力の止まり

犬は年老いて、味覚や嗅覚が徐々に鈍くなっていきます。人間でも高齢になると食べ物の味がわかりづらくなるように、犬も同じような変化が起きます。

また、顎首まわりの筋力が落ちると、硬いドライフードを噛むと言うことを、「食べにくい」と感じ、食事を拒むようになることもあります。

さらに、消化機能が弱まっていると、いつもと同じごはんでも胃に負担がかかりやすくなり、食欲の低下につながります。

関節の痛みや姿勢の影響

シニア犬には、関節炎やヘルニアなどの運動器系のトラブルも増えてきます。また、足腰が弱っていると、立った姿勢で食事をするのがつらくなり、「食べたくても食べられない」という状況が生まれることもあります。

天気・環境の変化によるストレス

気圧や気温、湿度の変化は、人間だけでなく犬の体にも影響を与えます。 特にシニア犬は環境変化に敏感で、梅の雨時期や台風前後などには、体調を崩しやすくなる傾向があります。 また、引っ越しや模様替え、飼い主のライフスタイルの変化といった「環境の変化」も、犬にとっては大きなストレスになります。

もし食欲低下の時期が「季節の変わり目」や「生活の変化」と重なっている場合は、環境的なストレスを軽減することが対策に繋がる可能性があります。

年齢を重ねた犬に見られる変化のひとつが、視覚や聴覚、空間認知力の低下です。 特に視覚が落ちてくると、「ごはんの場所がわからない」「ごはんが目の前にあることに気づかない」といったケースが見られるようになります。 また、認知機能が低下すると、時間の感覚や行動の順序が分からなくなり、「今は食事の時間」と認識できないこともあります。

この変化がある場合は、毎回同じ時間・場所でごはんを考えることを習慣化するとともに、周囲の環境を変えないように配慮することが重要です。 安心できる環境が、シニア犬の行動を安定させるカギになります。

注意が必要な病気の可能性

腎臓・心臓・内分泌系の疾​​患

シニア犬がごはんを食べない背景には、加齢によって進んでしまう慢性疾患の存在があることも少なくありません。

特に注意したいのは、腎臓病・心臓病・甲状腺や副腎などの内分泌疾患です。

また、ホルモンバランスの乱れが起きると、一時的に食欲が増えたり、逆に全く食べなくなったり、とんでもない食行動が見られることもあります。

意外と見落とされがちなのが、口の中のトラブルです。 高齢になると歯茎が弱くなり、歯周病や歯のぐらつき、口内炎などが起こりやすくなります。食べたい気持ちはあっても、「噛むと痛い」「しみる」といった理由で、ごはんを食べないこともあります。 毎日の歯磨きが難しい場合でも、定期的な歯のチェックや、動物病院での歯科診療を取り入れることで、口腔内の健康維持を行うことが大切です。

認知症・脳疾患などの神経的関与

近年、犬の長寿化により、認知症(認知機能不全症候群)にも注目が集まっています。

また、脳腫瘍や神経性の疾患が原因で食欲が低下するケースも見られ、早めに病院で神経系の検査を受けることが重要です

認知症の初期段階であれば、生活環境を整えたり、日々の生活リズムを安定させることで、症状の進行を穏やかにできる可能性があります

食欲不振+変化があるときは

シニア犬が一時的にごはんを食べなくなることは、珍しいことではありません。

以下のような変化が見られた場合は、また動物病院を受診することをおすすめします。

✅ 2日以上のごはんをほとんど食べない

✅元気がない・寝てばかりいる

✅水も吸わない、脱水の様子がある

✅嘔吐・下痢・発熱などの症状がある

✅歩き方がおかしい、ふらつく

✅お腹が伸びている、痛がる様子がある

シニア犬は体調の変化に弱く、病気の進行が早い傾向があります。少しでも「いつもと違う」と感じたら、迷わずプロに相談することが何より大切です。 

家庭でできる!食べないときの9つの工夫

① 温めて香りを立てる

嗅覚が衰えてくるシニア犬にとって、「ごはんのにおい」は食欲を左右する大きなポイントです。フードを少し温めることで香りが立ち、犬の食欲を刺激することができます。 ドライフードであれば、ぬるま湯を加えてふやかしたり、電子レンジで数秒温める方法があります。ただし、熱すぎると火傷のリスクがあるため、必ず人肌程度に冷ましてから与えましょう。

② 好きなトッピングを加える

食べ飽きたごはんに、香りの強いトッピングを加えることで、食いつきが良くなる場合があります。犬用のチーズやささみ、無塩のかつおぶしなどは定番のトッピング食材です。 注意点としては、トッピングばかりに偏らないようにすること。主食のフードとバランスを保ちながら、量も調整するようにしましょう。

③ フードをふやかしてやわらかく

噛む力や飲み込む力が落ちているシニア犬には、カリカリのドライフードは負担になることがあります。そんなときは、ぬるま湯や犬用スープなどでフードをふやかすことで、食べやすく、消化もしやすい食事になります。 ふやかすことで水分も同時に摂れるため、脱水予防にも役立つのがポイントです。食べる様子を見ながら、やわらかさの調整をしてみてください。

④ ウェットフードや手作りごはんの活用

ドライフードよりもにおいが強く、舌触りもなめらかなウェットタイプのフードは、嗜好性が高いため、食欲の落ちたシニア犬でも口にしやすい傾向があります。

また、手作りごはんもひとつの選択肢です。鶏肉や白身魚、さつまいもなどをやわらかく煮て与えることで、犬にとっては「特別なごはん」と感じ、興味を持つことがあります。ただし、栄養バランスには十分注意が必要なので、基本的にはフードとの併用をおすすめします。

⑤ 甘みのある野菜や果物で食欲刺激

犬は本来、甘みを好む傾向があります。さつまいもやかぼちゃ、バナナなどのやさしい甘みのある食材は、シニア犬の食欲を引き出す手助けになります。 もちろん、量は少なめにし、犬用として安全なものだけを使いましょう。人間用の味付けをしたものや、玉ねぎ・ぶどうなど犬にとって有害な食材は絶対に与えないようにしてください。

⑥ 食事台やシリンジでサポート

足腰の弱ったシニア犬にとって、床に置かれた器で食べるのは意外と大変です。食器の高さを調整できる食事台を使うことで、犬の首や関節の負担を軽減し、食事が楽になることがあります。 また、重度の衰弱や病後の回復期などで自力で食べられない場合は、シリンジ(注射器型のスポイト)でやわらかい流動食を与える方法もあります。こちらは無理のない範囲で行い、難しいときは獣医師に相談しましょう。

⑦ 軽い運動やマッサージで空腹を促す

運動不足は、犬の代謝や食欲にも影響を与えます。無理のない範囲での散歩や、軽く体を動かすことで、自然な空腹感が生まれ、食事への興味が戻ることもあります。

さらに、リラックスできるマッサージもおすすめです。優しく背中や腰をなでてあげるだけで、精神的に落ち着き、ストレスが和らぐ効果が期待できます。

⑧ おやつを利用した食欲回復法

普段のごはんを食べないのに、おやつなら食べるというシニア犬も少なくありません。そのような場合は、おやつを上手に活用して、食事への橋渡しをするのもひとつの方法です。 たとえば、おやつを細かく砕いてフードに混ぜたり、ほんの少しの量を与えた後にフードを続けて出すことで、「食べるスイッチ」が入るケースもあります。ただし、おやつだけに頼ると栄養バランスが崩れるため、あくまでサポートとして取り入れましょう。

⑨ 何も食べない時は水分補給と受診を

どんな工夫をしてもまったく食べない、食べたとしても吐いてしまうような場合は、早急な対処が必要です。まずは水分だけでもこまめに補給し、脱水を防ぐことが最優先です。 水分を受けつけない場合は、スポイトやガーゼなどで口を湿らせる方法もあります。そのうえで、速やかに動物病院を受診しましょう。ごはんを食べない原因が病気や内臓の異常であることもあるため、放置は禁物です。

水分補給と脱水対策の重要性

水分不足が生じる影響

犬はほとんど水を飲まない動物ですが、シニア期に入ってさらに飲む水量が減少する傾向があります。

特に、ごはんを食べない状態が続いていると、水分摂取量も減少し、脱水症状のリスクが生じます。 また、便秘や尿トラブルなどもわかりやすくなり、さらに体調不良を考えることにもつながります。

飲む水が少ないときの工夫

ごはんを食べないシニア犬は、水もたまになくなることがあります。

さらに、水だけでは飲まない場合、香りのあるスープや煮汁で水分を補う方法もあります。

スープやゼリーでの補給方法

食欲が落ちているときは、食事から水分の工夫がとても重要です。

例えば、鶏肉や野菜を煮込んだ「犬用スープ」は、香りがよく、水分とともに栄養も摂れる優れた手段です。 また、水分補給と栄養サポートを兼ねたペット用のゼリータイプの補助食品も市販されています。

ただし、人間用のスープやゼリーは塩分や糖分が高すぎるため、必ず犬専用の製品を使うか、無添加・無塩で手作りすることが基本です。

必要な栄養素と体重管理

老犬に必要な栄養バランスとは?

シニア犬にとって、ただ「食べる」だけでなく、栄養バランスがとれた食事を摂取することが非常に重要です。若い頃と比べて代謝が落ちるため、必要な栄養素の割合も変化してきます。

特に意識したいのは以下の栄養素です。

良質なタンパク質-筋肉維持や免疫力サポートに必要

オメガ3-関節脳の健康維持

ビタミン・ミネラルー体内機能を整える働き

食物繊維-消化機能や腸内環境のサポート

「カロリーは控えめに、栄養価は高い」が基本の考え方です。

フードの選び方とラベルの見方

市販されているドッグフードの中には、「シニア用」「高齢犬向け」といった表示があるものがあります。 これらは年齢に合わせて栄養設計が行われていることが多いですが、成分表や原材料表示をしっかり確認することが大切です

第一原材料が肉類(チキン・ラムなど)かどうか

人工添加物(着色料・保存料)が少ないこと

粗タンパク・脂質・カロリー量が正しいか

AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準に適合しているフード

体重の減少に気づくためのチェック方法

シニア犬では、体重管理が健康の基本になります。 見た目では気づきにくいこともあるので、定期的に体重を測定しましょう。

家庭でできる簡単なチェック方法として、「肋骨を軽く触れて落ちているか」「背中や腰の骨が浮いていてるか」を見ることが挙げられます。 特に背中やお尻の筋肉が落ちている場合、栄養不足や筋力の低下が進行している可能性があります。 体重が減った場合は、フードの見直し、摂取カロリーの調整、消化吸収のサポートなど、全体的な食生活の見直しが必要です。

フードを切り替える時の注意点

急な変更はNG!徐々に慣らす

「食べないから」と、急にフードを変えると、逆効果になることもあります。犬は保守的な動物のため、急な味や食感の変化に強いストレスを感じることがあるからです。フードの切り替えは、1週間〜10日ほどかけて、今のフードに少しずつ新しいフードを混ぜながら進むのが理想です。 最初は1割、次は3割、5割…と段階的に移行していきましょう。

獣医師に相談してから始めよう

すでに病気がある、内臓機能に不安がある、栄養管理が難しいと感じる場合は、自己判断でフードを変更することを避け、必ず獣医師に相談してから行いましょう。 また、動物病院では療法食の提案や、個々の体質に合った栄養設計のアドバイスを受けられる場合もあります。

新しいごはんに変えるときのステップ

実際に切り替える場合のステップは以下のとおりです。

1.現フードと新フードのバランス栄養やカロリーを確認する

2.1日1〜2食のうち1食から少量を混ぜ始める

3.愛犬の便の様子、食いつき、体調をしっかり観察する

4.問題がなければ、数日おきに新しいフードの割合を増やしていく

このプロセスを丁寧に行うことで、犬の体調を守りながら、スムーズにフードの移行を進めることができます。

シニア犬の段階別の食事管理

シニア1期:代謝の変化に対応する

シニア犬は、年齢や状態によって必要なケアは異なります。

まずは「シニア1期」と呼ばれる、7〜10歳前後の比較的元気な時期です。  この時期は見た目に大きな変化はないものの、代謝がゆるやかに低下し始める頃です体重が増えることもありますが、筋肉量が少しずつ少なくなる傾向もあります。そのため、高たんぱく・低脂肪のフードを意識して選ぶと良いでしょう。 また、食欲が安定しているうちに、定期的な健康診断やフードの見直しを行っておくことが、次のステージに備えてのポイントです。
 

シニア2期:分割給餌で食べやすく

10〜13歳になると、食欲に波が出てきたり、1回の食事量が減ったりすることがあります。 また、ふやかしたフードやウェットフードの導入も、この時期から検討してみましょう。 食べやすさ・飲みやすさを意識した食事設計が大切です。

シニア3期:介護食・シリンジ食の導入

13歳以降になると、寝ている時間が増えたり、口を動かす力が弱くなったり、介護的なサポートが必要になることもあります。このステージでは、「食べさせる」ことが中心となり、柔らかく水分の多い食事やシリンジによる流動食などの選択肢になります。この時、飼い主の精神負担が大きくなりがちですが、焦らず、無理のない範囲で「今できること」に集中することが、犬にとっても安心感につながります。

やってはいけないNG行動

人間の食べ物を与える

「食べないから」と、つい人間のごはんを与えてしまうのは厳禁です。
人間の食事には塩分や脂肪分が多く含まれているほか、豚肉やネギ、チョコレート、ぶどうなど、犬にとって有害な食材ことありますが含まれていることもあります。

犬の健康を守るためにも、食べ物は必ず犬用のフードや安全な食材に限定することが大切です。

無理に食べさせる・叱る

焦ってスプーンで冷静口に運んだり、食べないことを怒ったりするのは逆効果です。犬は人間の感情に非常に敏感なので、「食事=嫌な時間」になってしまい、ますます食べなくなります。

おやつだけに頼るのはNG

おやつだけで栄養を取らせようとするのは危険です。好みの高いおやつは確かに食いつきは良いですが、栄養のバランスが偏り、内臓に負担がかかることもあります。どうしてもおやつを使いたいときは、栄養補助食として設計されたものや、主食と一緒に少量だけ混ぜる方法がおすすめです。

病院受診のタイミングと準備

シニア犬の「なんとなく」も重要なサイン

犬の体調は、日々の変化が大きなサインになります。 「今日はなんとなく元気がない」「表情が暗い」「呼んでも反応が鈍い」などの様子が見られたら、迷わず病院で相談することも大切です

診察時に持っていくといいもの、記録とは

場合によっては、以下のような情報を事前にメモしておくと、スムーズな診断に役立ちます。

最後に食べた日付とその量

食べなくなってからの一日

飲水量の変化

排便・排尿の様子

元気の有無、歩き方、呼吸の状態など

また、使っているフードのパッケージや、日常の様子を記録した写真・動画を一緒に持参するのもおすすめです。

まとめ:シニア犬のごはんケアは愛情+観察+工夫

これから始めよう

シニア犬がごはんを食べないと、不安になるのは当然です。でも、焦らず、まずは原因を探り、小さな工夫から始めることが大切です。
食器の高さを調整する、フードの香りを強める、日々の様子をこまめに観察する――どれも今日からできる小さな対策ばかりです。

飼い主さんのやさしい気づきが、愛犬の食欲と健康を支え続ける大きな力になります。

変化に気づく「観察力」が愛犬を守る

何より大切なのは、「いつもと違う」に気づくことです。シニア期に入ったら、より日々の様子を観察し、体調や食事の記録を残しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q1:ドライフードを食べなくなってしまったのですが、大丈夫ですか?

A1:噛む力が弱っている可能性があります。ふやかすなど工夫することで、改善する場合もあります。

Q2:手作りごはんだけでは、栄養が足りませんか?

A2:工夫は可能ですが、栄養バランスの確保が難しいため、基本は総合的な栄養食を中心にしましょう。

Q3:食べないときの工夫は?

A3:器の高さを変える、スープで香りづけする、ゼリ​​ータイプを使うなど効果的です。

Q4:1日以上食べなかったら危険ですか?

A4:シニア犬は体力が落ちているため、24時間以上食べない場合は早めの検討が必要です。

Q5:食べさせる時間帯はいつでもいいですか?

A5:体調に合わせて、落ち着いている時間帯がおすすめです。分割給餌で調整するのも有効です。

 

編集者情報

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