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犬の花粉症と目ヤニの関係を徹底解説|原因・症状・ケア・病院受診の目安まで網羅

犬の花粉症と目ヤニの関係を徹底解説|原因・症状・ケア・病院受診の目安まで網羅

この記事でわかること

愛犬の目やにが増えて気になっていませんか?本記事では、犬の花粉症と目やにの関係を徹底解説。アレルギーのメカニズムから季節ごとの症状、目やにの色別の病気サイン、自宅でできるケア、受診の目安まで網羅的に解説します。症状を見逃さず、愛犬の健康を守るための知識をわかりやすくまとめました。特に春〜秋の花粉シーズンに愛犬の目に異変を感じたら、ぜひ本記事を参考にしてください。

目次を表示

はじめに:犬の花粉症と目ヤニがなぜ関係するのか

犬にも花粉症はある?

私たち人間にとって春や秋は花粉症に悩まされる季節ですが、実は犬にも花粉症があることをご存じでしょうか?

犬は人間のように「くしゃみ」や「鼻水」といった症状が目立つわけではありませんが、皮膚のかゆみや目の炎症、耳の異常などがアレルギー反応として現れることがあります。

特に春のスギヒノキ、夏のイネ科植物、秋のブタクサヨモギなどの花粉が飛散する季節には、アレルギー性皮膚炎やアレルギー性結膜炎といった症状が増加します。こうした花粉アレルギーが原因で、目のかゆみや炎症が起こり、目やにが多くなるといった現象が見られることがあります。

目ヤニとアレルギーのメカニズム

犬の目に花粉が接触すると、体はこれを「異物」と認識し、免疫系が反応して排除しようとします。この一連の過程で、免疫細胞がヒスタミンなどの炎症物質を放出し、目の充血やかゆみ、さらには涙や目やにの分泌が促進されるのです。

とくに犬の結膜や角膜は繊細で、アレルギー反応により炎症を起こしやすくなっています。炎症が進行すると、黄色や緑色の粘度の高い目やにが出ることがあり、これは単なるアレルギー反応ではなく、感染症の兆候である可能性もあります。

したがって、花粉の時期に愛犬の目の周りに目やにが増えた、こすっている様子があるという場合は、アレルギー性結膜炎の可能性を念頭に置いて観察することが重要です。

さらに「犬の花粉症」の詳細を知りたい方はこちらの記事をご覧ください

犬の花粉症を完全ガイド|原因・症状・対策・最新研究まで解説

目ヤニの基礎知識と異常の見分け方

正常な目ヤニとは?

まず大前提として、犬の目やには完全に「ゼロ」である必要はありません。

正常な生理現象として少量の目やにが出ることは自然です。この正常な目やには、主に以下のような特徴を持っています

・色:透明〜白または淡い灰色

・質感:サラッとした液体、またはカサカサと乾いた状態

・匂い:なし

これらは、目の角膜が新陳代謝によって古くなった細胞を排出し、それを涙と一緒に排出したものであり、目の健康を保つための「掃除機能」としての役割を果たしています。 特に寝起きや外での活動のあとなどに、目の隅に軽く付着している程度であれば、あまり気にする必要はありません。

異常な目ヤニの色・粘度・臭いのサイン

一方で、異常な目やにには明確な特徴があります。それを見分けるためには、「色・量・質感・臭い」の4つの観点から観察するとよいでしょう。

以下のような場合は、アレルギーや感染症、目の疾患の可能性があります。

✓色が黄色や緑色:膿のような粘度が高い場合は、細菌感染やウイルス感染を伴っている可能性があります。

✓大量に出る・常に出ている:慢性的に目やにが出ている場合、炎症やドライアイ、角膜潰瘍などの眼疾患が疑われます。

✓ねばねばしている:乾燥せずいつまでも潤っている目やには、結膜炎やマイボーム腺炎の兆候です。

✓悪臭がする:感染が進行している場合、目やにから明確な異臭を感じることがあります。

これらの異常な症状が見られる場合は、早期に動物病院を受診することが大切です。自己判断で様子を見るよりも、獣医師に相談し、適切な診断を受けることで重症化を防ぐことができます。

犬の花粉症とは|原因と主な症状

アレルゲンと免疫反応の関係

犬の花粉症は、空気中に飛散する花粉が体内に取り込まれることで免疫系が過剰に反応し、アレルギー症状を引き起こす疾患です。

花粉症の主な原因となるアレルゲンには、スギ・ヒノキ・ブタクサ・ヨモギ・イネ科植物などがあり、人間とほぼ同様の季節性を持っています。アレルゲンが体内に侵入すると、犬の体はそれを「異物」と認識して、IgE抗体という免疫タンパク質を産生します。これがマスト細胞と呼ばれる免疫細胞に結び付き、アレルゲンが再度侵入した際にヒスタミンやセロトニンなどの炎症性物質を放出します。

このような免疫反応によって、目の粘膜や皮膚、耳などに炎症が起き、かゆみや赤み、目やに、涙、脱毛、皮膚のただれなどの症状が現れるのです。

花粉症は単なる「季節性のかゆみ」ではなく、アレルギー性皮膚炎や外耳炎、結膜炎などを併発する複雑な症状の一部であることを理解する必要があります。

目・皮膚・耳など部位別の症状

犬の花粉症は、人間のようにくしゃみや鼻水が目立つわけではなく、体の皮膚や目、耳といった外部組織に影響が出やすいのが特徴です。

特に以下のような部位に症状が現れる傾向があります。

目(結膜)-目の充血、かゆみ、まばたきが増える、涙や目やにが増える、目の周囲をこする

皮膚 - 顔、耳、足先、腹部、脇の下などにかゆみが出る、舐めたりかじったりすることで赤みや脱毛、かさぶたになる、フケが増える、皮膚がべたつく

 - 耳をしきりに掻く、頭を振る、外耳が赤くなって湿っている、臭いが出る、耳垢が増える

これらの症状は、アレルギー性皮膚炎・外耳炎・結膜炎として診断されることが多く、特に夏から秋にかけての湿度が高い時期には二次感染も起こりやすくなります。

また、花粉症は遺伝や体質が影響するため、一度発症すると季節ごとに繰り返す傾向があります。完全に治すことは難しいものの、正しいケアと予防で症状を抑えることは十分可能です。

さらに「犬の花粉症の症状」の詳細を知りたい方はこちらの記事をご覧ください

 

犬の花粉症とは?症状・原因・対策まで徹底解説

花粉症による目ヤニの特徴

黄色・緑色の目ヤニが出る理由

花粉症が原因で目の粘膜にアレルギー反応が起こると、結膜や角膜の表面が刺激され、炎症を起こします。この状態になると、目の粘膜は異物を排除するために涙を分泌し、それに伴ってムチン(粘液)や老廃物が混ざった目やにが排出されるのです。

通常の目やには透明や白色であることが多いですが、花粉症などのアレルギーが悪化すると、細菌や真菌が二次的に感染してしまい、黄〜緑色の粘度の高い目やにが出ることがあります。これは、膿のような成分を含んでおり、単なるアレルギー反応を超えて「感染症」のサインである可能性が高いです。

こうした状態は、放置することでさらに炎症が悪化し、角膜潰瘍や視力障害へと進行するリスクもあるため、異常な色や量の目やにが出ている場合は、すみやかに動物病院を受診する必要があります。

結膜炎・角膜炎との関連性

目やにの症状が強く出る場合、背景にはアレルギー性結膜炎または角膜炎があるケースが多く見られます。

アレルギー性結膜炎:これは花粉などのアレルゲンが目の結膜を刺激することで、かゆみ・赤み・涙・目やになどの症状が現れるものです。目の内側が赤く腫れたり、目を細める動作が増える場合は注意が必要です。

角膜炎・角膜潰瘍:角膜とは、黒目の外側を覆う透明な膜です。アレルギー反応で掻きむしったり、異物が入ったりして傷がつくと、角膜炎を引き起こします。進行すると角膜潰瘍となり、犬が目を開けたがらない、涙が止まらない、白目が真っ赤になるといった深刻な症状につながります。

どちらの場合も、目やには単なる分泌物ではなく体のSOSサインであるため、飼い主として早期に気づき、適切な対処をすることが重要です。

季節ごとの花粉リスクと対処法

春(スギ・ヒノキ)に多い症状

春はスギやヒノキの花粉がピークを迎える季節であり、犬の花粉症リスクも高まる時期です。人間同様にこの時期にアレルギー反応を示す犬は多く、特に目のかゆみや赤み、涙の増加、目やにの増加といった症状が目立ちます。また、外での散歩中に花粉が毛や皮膚、目の粘膜に付着することで症状が悪化するケースも見られます。対策としては、以下のような日常的なケアが有効です。

✓散歩から帰ったら濡れたタオルで体を拭く:特に目の周りや耳の裏、足先などを念入りに

✓部屋に入る前に洋服を脱がせて洗濯する

✓散歩の時間を花粉が少ない時間帯(早朝または夜間)に調整する

夏(イネ科)に注意すべき理由

意外に思われるかもしれませんが、犬の花粉症で最も注意が必要なのは夏の時期です。なぜなら、イネ科の植物(ホソムギ・ギョウギシバなど)は公園や散歩道に多く、犬の鼻や目、皮膚に直接触れる機会が多いからです。

加えて、日本の夏は高温多湿で、犬の皮膚バリア機能が低下しやすくなります。そのため、花粉+湿度による皮膚トラブルの併発が増え、目の炎症や目やにも悪化する傾向があります。

この時期は、花粉対策だけでなく皮膚の乾燥予防や通気性の良い服の着用、冷房による室内温度管理など、複合的なケアが必要です。

秋(ブタクサ・ヨモギ)の皮膚炎リスク

秋にはブタクサやヨモギといったキク科の植物の花粉が飛び交います。これらの植物は野原や河川敷などに多く生息し、夏と同様に散歩中に犬の体に付着することがあります。秋の花粉は皮膚にかゆみや赤みを引き起こすタイプのアレルゲンが多いため、目よりも皮膚症状に現れやすい傾向があります。

ただし、目の周囲のかゆみがきっかけで犬が目をこすり、結果的に結膜炎や目やにが発生するケースも少なくありません。

この時期の対処としては、皮膚の保湿やノミ・ダニ予防と並行して、目の周囲を重点的に清潔に保つケアが重要となります。

花粉症以外で目ヤニが増える病気とは

ドライアイ・眼瞼内反症・異所性睫毛

目やにが増える原因は花粉症だけではありません。目の構造や涙の分泌異常による目の病気でも、同様の症状が現れます。

ドライアイ(乾性角結膜炎):涙の分泌量が少なくなることで、目の表面が乾燥し、老廃物や異物を流せなくなります。

その結果、目やにが濃くなり、粘度の高い分泌物として現れます。ドライアイは特にシー・ズーやパグ、ウエスティなどに多く見られ、慢性的な症状となる場合もあります。

✓眼瞼内反症(がんけんないはんしょう):まぶたが内側に巻き込むことで、まつ毛や皮膚が角膜を常に刺激してしまう状態です。

角膜に傷がつき、そこから細菌感染を起こすことで目やにが悪化します。涙も増えやすく、見た目では「涙やけ」にも見えることがあります。

✓異所性睫毛(いしょせいしょうもう):通常とは異なる場所にまつ毛が生えてしまう症状です。

これも角膜に常時接触して炎症を引き起こし、目やにが増える原因になります。異所性睫毛や眼瞼内反症は、外科的処置(手術)を必要とする場合もあるため、早期の診断が重要です。

流涙症・涙やけ・マイボーム腺炎

✓流涙症(涙やけ):涙の量が多くなったり、目から鼻へとつながる「鼻涙管」が詰まったりすることで、涙が目の周囲に溢れてしまう状態です。

涙とともに老廃物や雑菌も流れ出るため、茶色っぽい目やにや涙やけの原因になります。

✓マイボーム腺炎:まぶたの縁にある「マイボーム腺」が炎症を起こすと、油分を多く含んだネバネバした目やにが発生します。

ときには小さな腫れ物ができたり、痛みで目を開けたがらなくなることもあります。

これらの病気は見た目の印象だけでは判断が難しく、花粉症による目やにと混同されやすいため、注意が必要です。違和感を覚えたら、迷わず動物病院で診察を受けましょう。

さらに「涙やけ」の詳細を知りたい方はこちらの記事をご覧ください

 

犬の涙やけの原因と対策|食事・ケア・予防を徹底解説

目ヤニの色でわかる病気のサイン

白・透明:正常範囲?

犬の目やにが白色または透明の場合、それは正常の範囲内である可能性が高いです。

このタイプの目やには、主に以下のような状況で見られます。

・朝起きたときに少量ついている

・外出や散歩のあとに軽くついている

特に粘り気や異臭がないこれらの目やには、涙とともに古い角膜細胞やほこりを排出する生理的な働きであり、特別な心配はいりません。ただし、量が極端に多い、頻度が高すぎる、片目だけに偏っているなどの変化が見られる場合は、念のため経過を観察し、状況によっては動物病院での相談をおすすめします。

黄・緑:炎症や感染の疑い

目やにの色が黄色や緑色の場合、それは目の中で何らかの炎症または感染症が起きているサインです。

特に以下のような症状が併発している場合は要注意です。

✓目が赤く充血している

✓目を頻繁に掻いたりこすったりしている

✓目が開きにくそう、まばたきが多い

✓目やにが粘つき、時間が経っても乾かない

✓悪臭がする

このような症状は、アレルギー性結膜炎、細菌性結膜炎、角膜炎、マイボーム腺炎、ドライアイなど多様な疾患に関連している可能性があります。感染が疑われる場合は、適切な点眼薬や抗生剤、場合によっては外科的処置が必要となることもあります。

茶・黒:涙やけまたは古い分泌物

茶色や黒っぽい目やには、涙やけや古くなった分泌物が乾燥したものである可能性が高いです。とくに以下のような特徴がある場合に多く見られます。

✓涙の通り道(鼻涙管)が詰まりやすい犬種(例:マルチーズ、シー・ズー、トイプードルなど)

✓長毛種で毛に涙や分泌物が溜まりやすい

涙の色素が毛に付着し、赤褐色に変色する茶色の目やにや涙やけ自体は命に関わる症状ではありませんが、不衛生な状態が続くと皮膚炎や細菌感染のリスクが高まります。目の周りをこまめに清拭し、毛を短く整えるなどして清潔を保ちましょう。

犬種別の注意点と発症傾向

短頭種が目トラブルに弱い理由

短頭種(たんとうしゅ)とは、いわゆる鼻が短く、顔が平らな形状をしている犬種のことを指します。

代表的な犬種には以下のような種類が挙げられます。

・パグ

・フレンチブルドッグ

・シーズー

・チワワ(アップルヘッド)

・ペキニーズ

これらの犬種は、顔の構造上、目が突出しているため外部刺激を受けやすく、涙が溜まりやすい、目の乾燥が起きやすい、目やにが多く出やすいといった特徴があります。加えて、鼻涙管が詰まりやすいこともあり、涙やけや結膜炎、ドライアイなど目のトラブルが起こりやすい傾向にあります。また、これらの犬種はまぶたの形に異常があることも多く、眼瞼内反症や外反症といったまぶたの病気が併発することで、常に目が刺激を受け、目やにが慢性化しやすい状態となります。

アレルギー体質の犬種TOP10

体質的にアレルギーを起こしやすい犬種は、花粉症やアトピー性皮膚炎、結膜炎なども発症しやすい傾向があります。

以下は、臨床的にアレルギー体質が多いとされる代表的な犬種です。

1. ビション・フリーゼ

2. ゴールデン・レトリーバー

3. ボクサー

4. シー・ズー

5. ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウエスティ)

6. コッカー・スパニエル

7. ジャーマン・シェパード

8. ピット・ブル・テリア

9. ダルメシアン

10. アイリッシュ・セッター

これらの犬種は、複数のアレルゲン(花粉・ダニ・食物など)に反応しやすい体質を持っているとされています。目だけでなく、耳や皮膚にもアレルギー症状が現れやすく、季節ごとのケアを怠ると症状が慢性化する恐れがあります。また、飼い主が「うちの子はアレルギー体質かも?」と早期に気づくことができれば、予防や対策も取りやすくなります。遺伝的傾向や犬種特有の疾患傾向を理解しておくことは、健康管理の第一歩です。

家庭でできる花粉対策と目のケア

散歩後の体拭き・目まわり清掃

花粉の季節において最も効果的な予防方法のひとつが、体に付着した花粉をすぐに取り除くことです。特に散歩の後は、犬の被毛や顔、足回りに花粉が付着していることが多いため、以下のような対策を習慣づけると良いでしょう。

✓濡れタオルや専用のウェットシートで体全体をやさしく拭く

✓目の周囲は清潔なコットンでやさしく拭き取り、花粉やほこりを取り除く

✓足の裏や指の間もしっかりとチェックして拭き取る

特に目のまわりは皮膚が薄くデリケートな部分なので、こすらず「押さえるように拭く」ことがポイントです。

服・空気清浄機など環境整備のポイント

花粉から犬を守るには、外出中だけでなく室内環境の整備も重要です。

花粉は衣類や人の髪の毛にも付着して室内に持ち込まれるため、以下の対策をおすすめします。

✓散歩時には犬用の服を着せて、花粉の付着面積を減らす

✓帰宅後は服を脱がせてすぐ洗濯する

✓飼い主自身も服を着替える、シャワーを浴びるなどの工夫を

✓花粉フィルター付きの空気清浄機を設置し、室内の浮遊花粉を除去する

✓カーペットやカーテンなど、布製品はこまめに洗濯または掃除機をかける

とくに室内で犬が寝る場所の空気をきれいに保つことは、花粉症だけでなく皮膚炎や呼吸器疾患の予防にもつながります。

皮膚の保湿とノミ・ダニ対策

花粉による皮膚トラブルを予防するには、肌のバリア機能を高める保湿ケアも効果的です。乾燥した皮膚は刺激に弱く、花粉が付着することで炎症が起きやすくなります。

・獣医師に相談の上、犬用の保湿スプレーやジェルを使用する

・散歩前にワセリンなどで肉球や目の周囲を保護する

・加湿器を使用して室内の湿度を40〜60%に保つ

また、花粉アレルギー体質の犬は、ノミ・ダニなど他のアレルゲンにも敏感な場合が多くあります。ノミ・ダニの駆除や予防を怠ると、症状が複雑化する恐れがありますので、動物病院で処方される予防薬を定期的に投与しましょう。

目ヤニの正しい取り方と注意点

コットンやノミ取りコームを使う方法

目やにを無理に引っ張ったり、爪やティッシュでこすって取ろうとすると、目の表面やまぶたを傷つけてしまう恐れがあります。

目のトラブルを悪化させないためには、以下の方法でやさしく除去するのが基本です。

1. ぬるま湯または精製水を用意する

2. コットンやガーゼを湿らせて、目やにに軽く当てて数秒置く

3. やわらかくふやけたら、目の端から中央に向かってやさしく拭き取る

4. しつこく残る場合は、ノミ取り用の目元用コームでやさしく取り除く

このとき、片目ごとにコットンを使い分けることで、感染の拡大を防ぐことができます。また、アルコールを含むウェットティッシュなどは目に刺激が強いため使用は避けましょう。

ティッシュはNG?眼球を傷つけないコツ

ティッシュペーパーは繊維が荒く、乾いた状態で使用すると眼球やまぶたの皮膚をこすってしまうリスクがあります。

とくに炎症が起きている場合には、ほんの少しの摩擦でも痛みや違和感を引き起こしてしまいます。そのため、目やにを取る際には必ず以下を守るようにしましょう。

✓水で濡らしたやわらかい素材のものを使う(コットンや脱脂綿、専用シート)

✓拭く方向は「外→内」ではなく「内→外」へ、涙の流れに沿ってやさしく

✓拭き取りが困難な場合は無理せず動物病院へ相談する

また、慢性的に目やにが出る場合、毎日ケアしているにも関わらず改善しないようであれば、根本的な原因(花粉症・角膜炎・異物混入など)を治療しないと解決しません。見た目だけをきれいにするケアではなく、原因にアプローチするケアを意識しましょう。

目ヤニは視力に影響を与える?

放置による視力低下のリスク

目やに自体が視力を直接悪化させることは少ないですが、目やにの原因となっている疾患を放置することで視力に悪影響を与えるケースは少なくありません。例えば、次のような例が挙げられます。

・結膜炎や角膜炎が長引くことで角膜に傷が残る

・ドライアイの進行で角膜が白く濁る

・角膜潰瘍が進行して穿孔(穴が開く)し、失明に至るケース

こうした深刻な視覚障害を未然に防ぐには、「目やには症状の一部」であるという意識を持つことがとても大切です。「拭けば終わり」ではなく、「なぜ出ているのか?」を観察し、原因を早期に突き止めることが視力を守ることにつながります。

目の病気と視覚障害の関連

目やにの背景にある目の病気の中には、進行すると視覚に重大な影響を与える病気も含まれます。以下は代表的な例です。

✓角膜潰瘍:角膜がただれ、最悪の場合は角膜穿孔や眼球摘出の危険性もあります

✓緑内障:眼圧が上昇し、視神経に障害が及び失明リスクがあります

✓ブドウ膜炎:白内障・網膜剥離などを引き起こす可能性も

これらは一見「ただの目やに」から始まることも多く、見逃されがちです。特に黄色や緑色の粘度が高い目やに、目を細める・開けづらそうにする動作が見られる場合は、できる限り早く獣医師の診断を受けましょう。

病院を受診すべき目ヤニのサイン

急に増えた・色が異常な目ヤニ

以下のような変化が見られる場合は、早期に動物病院を受診すべきサインです。

✓急激に目やにの量が増えた

✓目やにの色が黄色や緑色に変わった

✓明らかに悪臭がする

✓片目だけに目やにが集中している

特にこれらの変化が1〜2日以上続く場合や、繰り返し見られるような場合は、自己ケアで様子を見るよりも、獣医師に診てもらうことを強くおすすめします。

目をしょぼつかせる・赤くなる場合

目やに以外のサインとして注意したいのが、目をしょぼしょぼさせる、まばたきが増える、赤く充血している、目をこすろうとするなどの行動です。

これは犬にとって「目が不快」であることの表れであり、次のような疾患が関係していることがあります。

・アレルギー性結膜炎

・異物混入

・角膜潰瘍

・マイボーム腺炎

これらの初期症状に目やにが伴うケースが多く、飼い主が早めに異変に気づくことが、症状の悪化を防ぐ大きなカギになります。

花粉症と混同しやすい病気との違い

アトピー性皮膚炎との違い

犬の花粉症とよく混同される病気のひとつが「アトピー性皮膚炎」です。どちらもアレルギー反応によって起こる点は共通していますが、発症の原因や症状の現れ方、治療法が異なります

共通点

かゆみ、赤み、脱毛、目やになどの皮膚・目のトラブルがある

✓アレルゲン(抗原)に反応して免疫が過剰に働く

✓季節性の症状悪化が見られることがある

異なる点 

比較項目花粉症アトピー性皮膚炎
主なアレルゲンスギ・ヒノキ・ブタクサなどハウスダスト・ダニ・カビ・花粉など複合的
発症のきっかけ花粉の季節に限定されることが多い通年症状が続くケースが多い
主な症状部位目、顔、足先、皮膚など脇、腹部、内股、耳の周りなど
治療抗ヒスタミン・目薬などで対応しやすい長期的なスキンケアと体質改善が必要

特に通年性か季節性かは重要な見分けポイントになります。春や秋など特定の季節にだけ症状が出るようであれば、花粉症の可能性が高く、逆に年中症状が出ている場合はアトピー性皮膚炎が疑われます。

食物アレルギーとの見分けポイント

食物アレルギーもまた、花粉症とよく混同される疾患のひとつです。こちらも免疫の過剰反応で起こりますが、アレルゲンが「経口摂取」される点が大きく異なります

主な特徴と違い 

✓花粉症:吸入による刺激(空気中の花粉)

✓食物アレルギー:特定の食材に対する反応(例:鶏肉、牛肉、小麦、大豆など)

主な症状の現れ方

花粉症:目や皮膚、鼻の症状が中心。季節によって発症

✓食物アレルギー:皮膚のかゆみ、下痢、嘔吐、耳の炎症など消化器症状を伴うことも

花粉症は外部要因が中心であり、食物アレルギーは内部(食事)要因が中心になります。 症状が年中変わらず続く場合や、特定のフードを与えたあとに症状が悪化する場合は、食物アレルギーの可能性を考慮し、獣医師と相談のうえ除去食試験を行うのが有効です。

まとめ:目ヤニから見抜く愛犬の健康サイン

花粉対策と目のケアは早期対応がカギ

犬の目やには、体の異変を知らせる大切なサインです。

特に花粉症の季節には、アレルギー性結膜炎や角膜の炎症、ドライアイなど、さまざまな疾患と関連して目やにが増える傾向があります。日頃から愛犬の目の状態をよく観察し、色や量、臭いなどに変化があれば早めに対応することで、重症化を防ぎ、視力の維持にもつながります。

獣医師と連携して愛犬を守ろう

自宅でのケアだけで完全に予防するのは難しいですが、動物病院での定期検診やプロのアドバイスを受けることで、花粉症や目のトラブルも早期発見・早期治療が可能になります。大切な愛犬の健康を守るために、「目やにを見逃さない」ことが最大の予防策であると言えるでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 犬の花粉症による目やにはどんな特徴がありますか?

A. 目がかゆそうにしている、赤く充血している、黄色や緑の目やにが出るなどの症状が特徴です。アレルギー性結膜炎が原因のことが多く、早期の治療が大切です。

Q2. 毎日目やにが出るのは異常ですか?

A. 毎日少量の白または透明な目やにが出るのは生理的なものですが、色や粘度、臭いが異常な場合は病気の可能性があります。

Q3. 市販の人間用の目薬を犬に使ってもいいですか?

A. 使用しないでください。人間用の目薬には犬にとって刺激が強い成分が含まれていることがあり、症状を悪化させる可能性があります。必ず動物病院で処方された目薬を使いましょう。

Q4. 花粉症の犬に散歩はさせないほうがいいですか?

A. 散歩は必要ですが、花粉が少ない時間帯(早朝・夜)を選び、帰宅後に体を拭いてあげるなどの対策をすれば問題ありません。

Q5. 犬の目やにで失明することはありますか?

A. 目やに自体ではなく、その原因となる病気(例:角膜潰瘍や緑内障)を放置した場合、視力障害や失明につながることがあります。早期発見がカギです。
編集者情報

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