犬が誤飲で下痢をしたときの原因・症状・対処法を徹底解説【獣医師監修】
愛犬が急に下痢をしてしまった…。さらに、最近何かを飲み込んでしまった様子がある——そんなとき、飼い主としてはとても不安になりますよね。
犬の下痢は、一過性で軽度なものから、命にかかわる重篤な病気の兆候まで、その原因や重症度はさまざまです。特に「誤飲」による下痢は、異物が腸に詰まったり、毒性のある物質を摂取していた場合には、迅速な対応が必要になることがあります。
この記事では、犬が誤って異物を飲み込み下痢を引き起こしたときに、飼い主が取るべき行動、観察すべき症状、そして動物病院を受診するべき判断ポイントを、獣医師の知見に基づいて詳しく解説します。愛犬の健康を守るために、ぜひ最後までご覧ください。
- 1. 犬の誤飲とは?代表的なケースと原因
- 2. 犬の下痢の基本知識と分類
- 3. 誤飲による危険な症状とは?
- 4. ストレスや環境要因が引き起こす下痢
- 5. 飼い主がすぐにチェックすべきポイント
- 6. 自宅でできる応急処置と注意点
- 7. 動物病院に連れて行くべき判断基準
- 8. 病院での診断と治療プロセス
- 9. 誤飲物の種類によるリスクと対処法
- 10. 誤飲による下痢の再発防止策
- 11. 健康な腸を維持する食事と予防
- 12. 散歩や家庭内での誤飲予防術
- 13. ワクチン・駆虫薬で守れる下痢の予防
- 14. ペット保険の必要性と選び方
- 15. まとめ:早期発見と予防が愛犬を守る
1. 犬の誤飲とは?代表的なケースと原因
誤飲しやすい犬種と年齢
誤飲はすべての犬に起こり得ますが、特に多いのは「好奇心旺盛な子犬」や、「食欲が非常に強い犬種」です。ラブラドール・レトリバーやビーグルなど、口に入るものは何でも噛んで確認するタイプの犬種は、日常的に誤飲のリスクが高い傾向があります。
また、子犬は成犬に比べて噛む力が弱く、異物を咀嚼せずにそのまま飲み込んでしまうことが多いため、特に注意が必要です。老犬の場合でも、視力や嗅覚の衰えから間違って誤飲するケースも見受けられます。
家庭で起きやすい誤飲のパターン
日常生活の中には、犬が誤飲しやすい危険が多く潜んでいます。以下のようなものが、誤飲の代表例です。
- ティッシュペーパーやラップなどの紙・ビニール類
- ペットボトルのキャップやおもちゃの部品
- ボタン電池や小さなプラスチック製品
- 人間の薬やサプリメント
- アクセサリーや輪ゴム、ヘアピンなど
特に、飼い主が気づかぬうちに落としてしまった物や、ゴミ箱の中のものは要注意です。「犬がゴミ箱を漁っていた」「机の上に置いていたものが消えていた」などの出来事があったときは、早急に様子を観察しましょう。
散歩中に拾い食いしてしまう理由
散歩中の拾い食いも、誤飲の大きな原因です。落ちている食べ残しや、動物の排泄物、たばこの吸い殻、小さなおもちゃなどを一瞬で口に入れてしまうことがあります。特に若い犬は、好奇心と狩猟本能が強く働き、飼い主の目を盗んで素早く誤飲する傾向にあります。
拾い食いを防ぐためには、散歩時のしつけが重要です。「リードを短めに持つ」「口輪の装着を検討する」「口に入れそうになったら『ダメ』としっかり指示する」など、誤飲予防の習慣づけが必要です。
2. 犬の下痢の基本知識と分類
小腸性下痢と大腸性下痢の違い
犬の下痢は、主に「小腸性」と「大腸性」に分けられます。それぞれの特徴を知っておくことで、どの程度の深刻さか、どこに問題が起きているのかを見極めやすくなります。
- 小腸性下痢:便の量が多く、水っぽいのが特徴。回数はそれほど増えませんが、黒っぽい色の便(タール便)が出ることもあり、小腸からの出血の可能性があるため注意が必要です。
- 大腸性下痢:便の量は少なく、回数が増えるのが特徴。ゼリー状の粘液便や、鮮やかな赤い血便が見られることがあります。大腸の粘膜に炎症がある可能性があります。
ゼリー状の粘液便や血便の意味
ゼリー状の便は「粘液便」とも呼ばれ、大腸の異常を示す代表的なサインです。大腸が刺激を受けると粘液が過剰に分泌され、それが便に付着して出てきます。粘液便が続くようであれば、腸炎や寄生虫感染、慢性腸疾患の疑いもあります。
また、便に鮮やかな血が混じっている場合は、大腸の末端で出血が起きていると考えられます。逆に、黒いタール状の便は、小腸からの出血が疑われるため、より緊急性が高い症状です。
誤飲による下痢のメカニズム
異物が胃や腸に到達すると、その刺激によって腸管の動きが乱れ、水分の吸収がうまくいかずに下痢が起こります。また、異物自体が腸に詰まることで腸閉塞を起こすと、強い腹痛や嘔吐、便が出ない状態に進行する場合もあります。
さらに、誤飲した物が化学的に有害であった場合、腸管に炎症や潰瘍を引き起こし、出血性の下痢になることも。特に危険なのは、電池、薬品、たばこ、チョコレートなどの誤食です。これらを飲み込んでいた場合は、下痢に加えて中毒症状が出る可能性があり、すぐに動物病院を受診する必要があります。
3. 誤飲による危険な症状とは?
下痢と同時に見られる嘔吐や発熱
誤飲による下痢は、単独の症状で終わらないことが多く、併発する症状として「嘔吐」「発熱」「震え」「食欲不振」などが挙げられます。これらは体が異物を排除しようとする防御反応のひとつであり、状態によっては急速に悪化することもあります。
黒色便や頻繁な水様便に注意
犬の便が黒くタール状になっている場合は、「メレナ(消化管出血便)」と呼ばれ、小腸や胃で出血が起きている可能性があります。このような便は、誤飲した異物が胃粘膜や腸粘膜を傷つけた結果として見られることが多く、緊急性が非常に高いサインです。
また、1日に何度も水のような下痢を繰り返している場合、体内の水分と電解質が急速に失われ、脱水症状に陥る恐れがあります。特に子犬や高齢犬では、体力がないため命に関わる状態に進行するリスクがあるため、早急な処置が必要です。
中毒性物質・化学品の誤食のサイン
犬が人間用の薬品や洗剤、タバコ、アルコール、チョコレートなどの中毒性のある物質を誤飲した場合は、下痢だけでなく神経症状や呼吸困難、痙攣といった深刻な症状が現れることもあります。
誤飲してから数時間以内にこれらの症状が出た場合は、原因物の成分が腸管から吸収され、全身に回って中毒症状を引き起こしている可能性があります。このようなケースでは、応急処置ではなく、すぐに動物病院で点滴や解毒処置を受けることが最優先です。
4. ストレスや環境要因が引き起こす下痢
旅行・来客・引越しなどの影響
犬は環境の変化に非常に敏感な動物です。旅行に連れて行かれたとき、家に見知らぬ来客があったとき、また引越しで生活空間が一変したときなどに、心理的なストレスから一過性の下痢を起こすことがあります。
このような「ストレス性下痢」は、誤飲と組み合わさることで症状を悪化させることもあり、特に神経質な性格の犬では頻繁に見られます。原因が明確にストレスと判断できる場合は、1〜2日で回復することが多いですが、長引く場合は獣医師への相談が必要です。
ペットホテルや動物イベントでの発症例
ペットホテルやドッグラン、動物イベントなど、多くの犬が集まる場所では、感染症やストレスによる下痢が増える傾向にあります。特に、他の犬の便や唾液からウイルスや寄生虫がうつることがあり、誤飲を伴うことでリスクがさらに高まります。
こうした場所を利用する際には、事前にワクチン接種が完了しているか確認し、当日の体調も十分にチェックしましょう。また、イベント後に急に下痢が始まった場合は、「何を口にしたのか」「周囲にどんな犬がいたのか」なども思い出しておくと、診断の手がかりになります。
長時間の留守番によるメンタルストレス
飼い主が長時間不在になることによって、犬が孤独感や不安感からストレスを感じ、下痢になるケースもあります。このような場合、誤飲につながる「破壊行動」や「拾い食い」をしてしまうことが多く、精神的な不安定さが誤飲→下痢という連鎖反応を引き起こすのです。
このような子には、留守番中に使える知育トイやカメラでの見守り、定期的なスキンシップを通して安心感を与える環境づくりが必要です。
5. 飼い主がすぐにチェックすべきポイント
下痢の回数・状態・臭い・色
犬の便の状態は、健康状態を知る最もわかりやすいバロメーターのひとつです。誤飲による下痢を疑ったときは、次の項目をチェックしましょう。
- 排便の回数:頻度が極端に増えていないか
- 便の形状:水様便、粘液便、血便、ゼリー状など
- 便の色:黒色(消化管出血)、赤色(大腸出血)など
- 便の臭い:異常に強いアンモニア臭や酸っぱい臭い
これらの情報は、動物病院での診断において非常に重要です。できるだけ詳細に記録しておくようにしましょう。
元気・食欲・体温など全身症状
下痢が見られても、犬が元気で食欲もあり、水分をしっかり摂っているようであれば、一過性の可能性が高いです。ただし、次のような全身症状がある場合は要注意です。
- ぐったりして元気がない
- 食べ物や水をまったく口にしない
- 体温が上がっている(39.5℃以上)
- 呼吸が荒い、震えがある
これらの症状は、体内で深刻な異変が起きているサインですので、放置せずに動物病院での受診が推奨されます。
誤飲の可能性を高める行動や状況
「いつもと違う行動をしていた」「ごみ箱を荒らしていた」「何かを急に飲み込むような仕草をした」といった状況があれば、誤飲を強く疑うべきです。また、異物を飲み込んだ直後は異常が見られなくても、数時間〜数日経ってから下痢や嘔吐が出てくることもあります。
可能であれば、異物が何だったか(形状・素材・量)を確認し、情報を整理しておくことが、診断や処置の迅速化につながります。
6. 自宅でできる応急処置と注意点
絶食・水分補給・環境の安静
下痢の症状が軽く、犬が元気そうな場合には、まず半日〜1日程度の絶食を行い、腸を休ませるのが基本です。絶食中も水は常に与えるようにしましょう。特に脱水になりやすいため、こまめに水分を摂らせることが重要です。
ただし、冷たい水や一気飲みは吐き戻しの原因になるため、常温の水を少しずつ与えるのがポイントです。また、トイレや寝床を清潔に保ち、犬が落ち着いて過ごせる静かな環境を整えてあげましょう。
やってはいけない市販薬の使用
犬の下痢が見られた場合、「人間用の下痢止めを飲ませたらいいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、人間の薬を犬に与えるのは絶対に避けるべきです。
市販の下痢止めには、犬にとって毒性のある成分が含まれていることがあり、かえって状態を悪化させる恐れがあります。また、下痢が体内の毒素や細菌を排出する防御反応である場合、薬で止めてしまうことによって有害物質が体内に留まり、重篤化する可能性も否定できません。
誤飲による下痢は特に原因が明確なことが多いため、自己判断での投薬はせず、早めに動物病院に相談するようにしましょう。
2日以内に改善しないときの対処
絶食や安静を保っても2日以上下痢が続く場合や、元気がない、食欲が落ちているなどの全身症状が伴っている場合は、軽視せず速やかに受診が必要です。
特に誤飲の可能性がある場合、異物が腸管にとどまっている可能性があるため、放置すると腸閉塞や腸穿孔といった命にかかわる事態に発展することもあります。
病院を受診する際には、便の写真、可能であれば便そのもの、食べたと思われる物の残骸などを持参すると、診断に役立ちます。
7. 動物病院に連れて行くべき判断基準
重症化を示すサインとは
以下のような症状が1つでも見られる場合は、すぐに動物病院へ連れて行く必要があります。
- 下痢が1日に何度も続き、水様便が止まらない
- 便に血液(鮮血・黒色便)が混ざっている
- 嘔吐を何度も繰り返している
- ぐったりして元気がない、食欲がまったくない
- 呼吸が速い、震えている、歩行が不安定
これらは、消化管に重度の炎症や閉塞、中毒などが起きている可能性を示しており、迅速な診断と治療が求められます。
受診前に準備しておく情報
病院では、飼い主さんの観察内容が診断の大きな手がかりになります。以下の項目を整理しておくとよいでしょう。
- 下痢が始まった時期と頻度
- 便の色・形・臭い・回数
- 犬の食欲や元気の変化
- 嘔吐や発熱の有無
- 食べた可能性のある異物の内容とタイミング
これらの情報があれば、獣医師は状況を素早く把握し、必要な検査や治療方針を的確に判断できます。
便や写真の活用方法
できれば、異常便の実物を密閉容器に入れて持参するのが理想です。難しい場合は、スマートフォンで便の写真を撮っておくだけでも大いに役立ちます。
また、異物の一部が排出されていた場合は、それも一緒に持っていくと、何を飲み込んだのかの特定がしやすくなります。誤飲が確定しているケースでは、迅速な治療ができるかどうかが回復の鍵を握ります。
8. 病院での診断と治療プロセス
便検査・レントゲン・血液検査
動物病院ではまず、飼い主からのヒアリングをもとに便検査を行い、寄生虫やウイルス感染の有無を確認します。必要に応じてレントゲン検査やエコー(超音波)検査を使って、腸内の異物の有無、腸の状態、ガスや液体の溜まり具合などを詳しく調べます。
また、全身状態を把握するために血液検査も行われることが多く、肝機能・腎機能・炎症マーカー・電解質バランスの異常などがチェックされます。
対症療法と原因療法の違い
治療は、原因が判明していない段階では対症療法(点滴、整腸剤、抗生物質の投与など)を行い、症状を緩和します。
誤飲が原因であった場合は、レントゲンなどで確認できた異物が自然に排出されるのを待つか、催吐処置(吐かせる処置)や内視鏡・手術による摘出が必要になることもあります。
原因が食物アレルギーや慢性腸炎であれば、それに応じた除去食療法や長期的な投薬が検討されます。
入院・手術が必要になるケース
腸閉塞や腸穿孔が起きている場合、内科的治療では対応できず、緊急手術が必要になることがあります。特に以下のような状況では、入院が避けられません。
- 異物が長時間腸内に留まり、通過しない
- 腸がを起こしている
- 誤飲物が尖っていて腸に傷をつけている
- 中毒症状が重く、24時間体制の管理が必要
こうした事態を防ぐためにも、誤飲が疑われる時点で早期に診察を受けることが、愛犬の命を守る第一歩となります。
9. 誤飲物の種類によるリスクと対処法
布・ゴム・プラスチックなど非食品
おもちゃの破片、靴下、布製のぬいぐるみの一部、輪ゴムなど、食品ではない異物を飲み込んでしまうケースは非常に多いです。
これらの異物は腸に詰まりやすく、消化されないため腸閉塞のリスクが高まります。症状としては、嘔吐、下痢、食欲不振、腹部の張りなどが見られ、進行すると腸のや穿孔につながることもあります。
便として自然に出てくる可能性もありますが、安全を考慮してレントゲンやエコーによる位置確認が必要です。飲み込んだと判明している場合は、動物病院へ直ちに連絡しましょう。
薬品・毒性植物・化学物質など危険物
人間用の薬品やサプリメント、除菌スプレー、漂白剤などの化学物質は、犬にとって非常に危険です。少量でも中毒症状を引き起こし、下痢・嘔吐・痙攣・昏睡など重篤な状態に進行することがあります。
また、室内に置かれがちな観葉植物の中には犬に有毒なもの(ポトス、スパティフィラム、アロエ、ユリ科植物など)も多く、知らないうちにかじってしまうことで下痢や嘔吐が起こるケースがあります。
これらの誤飲が疑われるときは、症状が出ていなくてもすぐに獣医師に相談しましょう。自己判断での対処は危険です。
尖った物や紐状の異物の危険性
串、爪楊枝、破片のあるプラスチック、縫い針、髪ゴム、ひもなどの尖った物・細長い異物は、特に危険です。
これらが腸管を傷つけると穿孔(穴あき)や腸ねじれなどを引き起こし、急速に腹膜炎やショック状態に至る可能性があります。紐状のものは腸に絡まり「腸重積」という緊急手術を要する状態になることも。
このような異物を飲み込んだ、あるいはその可能性がある場合は、絶対に便として出てくるのを待たず、即時病院へ連絡してください。
10. 誤飲による下痢の再発防止策
誤飲癖のある犬のしつけと対応
繰り返し異物を口にしてしまう犬には、原因を明らかにし、それに応じた行動矯正が必要です。
しつけとしては、「出せ」のコマンドを教える、「拾い食い禁止」の練習を行うことが効果的です。ご褒美を活用したポジティブトレーニングで学習させるのがポイントです。
知育玩具・ストレス解消の活用
退屈が原因で誤飲を繰り返す犬には、知育玩具やトリーツ入りボールなどで脳と体を使わせることが有効です。特にお留守番の時間が長い場合は、時間をかけて遊べるおもちゃを用意することで、口にしてはいけないものへの興味をそらすことができます。
また、十分な散歩や運動、飼い主とのスキンシップの時間も、誤飲行動の予防に大きく寄与します。
定期的なトレーニングのすすめ
問題行動が強い場合や、家庭でのしつけが難しいと感じた場合には、ドッグトレーナーや獣医行動診療科のサポートを受けることも検討しましょう。誤飲が繰り返されればされるほど、体へのダメージは蓄積します。
定期的な行動トレーニングによって、誤飲しない習慣を定着させることが大切です。
11. 健康な腸を維持する食事と予防
ドッグフードの見直しと切り替え方
下痢を起こしやすい犬は、食事の内容や与え方に問題がある場合も少なくありません。急なフードの切り替えや、脂質の多いおやつの与えすぎは腸に負担をかけ、下痢を誘発します。
フードを変更する場合は1週間かけて徐々に混ぜるようにし、急激な変化を避けることが重要です。消化器に優しい低脂肪・高消化性の療法食を選ぶことも検討しましょう。
食物アレルギーとフードトライアル
原因不明の下痢が続く場合、食物アレルギーや不耐性の可能性があります。獣医師の指導のもとで「フードトライアル」(特定の原材料に限定した食事を一定期間与える)を実施することで、症状の改善が見られることもあります。
腸内環境改善のためのサプリや菌活
腸内環境を整えることで、免疫力が向上し、下痢になりにくい体質に近づきます。ビフィズス菌、乳酸菌、プレバイオティクスなどを含む犬用サプリメントを活用するのも一つの方法です。
12. 散歩や家庭内での誤飲予防術
拾い食い防止のしつけ
散歩中の誤飲を防ぐには、「アイコンタクト」と「ダメ」のコマンドの習得が有効です。誤飲の瞬間を見逃さず、すぐに対応できるように飼い主側の意識も高めましょう。
室内の片付け・ゴミ管理の徹底
犬が届く範囲にゴミ箱を置かない、ティッシュや食品の袋を放置しないなど、環境管理も予防の重要なポイントです。家庭の中にある危険な物リストを作っておくと管理がしやすくなります。
来客時や引越し時の注意点
来客時や引越し、模様替えの際は、犬が見慣れない物を口にするリスクが高まります。一時的にケージに入れておくなど、安全を確保する対策を取りましょう。
13. ワクチン・駆虫薬で守れる下痢の予防
パルボ・コロナ・ジステンパーなど
誤飲がきっかけで免疫が低下し、ウイルス感染によって下痢が悪化するケースもあります。特にパルボウイルス感染症はちし率が高く、ワクチン接種による予防が非常に重要です。
寄生虫性下痢とその予防策
ジアルジアや回虫、鞭虫などの寄生虫は、下痢や嘔吐の原因になります。定期的な駆虫薬の投与と、感染リスクのある場所(公園、ドッグランなど)での予防が大切です。
14. ペット保険の必要性と選び方
誤飲による手術・入院の費用例
誤飲によって開腹手術が必要になった場合、費用は10万円〜30万円にもなることがあります。入院や点滴、検査、投薬も含めると、さらに高額になるケースも少なくありません。
下痢・嘔吐にも対応できる保険の条件
ペット保険を選ぶ際は、誤飲や消化器疾患、下痢・嘔吐といった症状に幅広く対応している商品を選びましょう。「入院+通院+手術」の補償範囲や、年間の限度額・免責金額にも注意が必要です。
15. まとめ:早期発見と予防が愛犬を守る
状況別の行動チェックリスト
誤飲による下痢は、見逃せば重大な病気につながる可能性があります。以下のチェックリストで日常的に観察しておきましょう。
- 下痢の頻度・便の形状を毎日チェック
- 拾い食いや異物を口にしていないか確認
- 急な食事変更やストレス環境に注意
信頼できる動物病院との関係づくり
かかりつけの獣医師がいれば、緊急時にも迅速に対応してもらえます。年に1〜2回の健康診断だけでなく、日頃から気軽に相談できる関係性を築いておくことが、愛犬の命を守るうえで大切な備えになります。
ドッグスペシャリストナビ編集部は、誤飲や下痢などの健康トラブルへの正しい対応と予防策を分かりやすく解説し、飼い主と愛犬の安心をサポートします。