愛犬との絆をもっと深めたい。そんな飼い主さんに注目されているのが「ドッグサーフィン」。今回は、国内でその魅力を広め続けるキーパーソン、日本ドッグサーフィン連盟(JDSA)副理事長・安江善文さんにお話を伺いました。
目次
海なし県からドッグサーフィンの世界へ
ーーまずは安江さんのご経歴を教えてください。
はい。私は岐阜出身で、父親が趣味で狩猟をしていた関係もあり、昔から犬は身近な存在でした。社会人になって転勤で東京本社に勤務する事になり横浜市に住む事になりました。最初は社宅だったのでペットNGだったのですが、引っ越した藤沢市のマンションがペット可だったので、お迎えして、それから今の愛犬ともう14年の付き合いになります。
ーー海の近くに住んでからサーフィンを始めたんですね?
そうですね。犬を飼う数年前に地元のサーフショップ「マーボーロイヤル(※)」でサーフィンを始めました。そのうちショップで行われていたドッグサーフィン大会を、カメラマンとして手伝うようになり、そこから今のJDSAの立ち上げに関わることになりました。
※マーボーロイヤル:(サーフブランドの商品展開、SURF SCHOOL & SUP SCHOOLの開催などを行う地元で有名なサーフショップ)
JDSA(日本ドッグサーフィン連盟)誕生の背景と目的
ーーJDSA(日本ドッグサーフィン連盟)はいつ立ち上げたのですか?
2018年です。それまで日本にはドッグサーフィンを体系的に扱う組織がなかったので、マーボーロイヤルの代表から「ちゃんと連盟を作ろう」という声が上がって、私も加わりました。
ーー連盟を立ち上げた目的は何でしたか?
日本ではまだ認知度が低かったドッグサーフィンを、もっと多くの人に楽しんでもらいたい、という思いからですね。すでにハワイやカリフォルニアでは人気がありましたし、日本でもそういう文化を作りたいと考えました。
ドッグサーフィンのルールと楽しみ方
ーードッグサーフィンの大会では、何を競うんですか?
大会は「犬だけで乗る部門」と「飼い主と一緒に乗る部門」に分かれています。スタイルやバランス、波に乗った時間などをサーフィンの基準に沿って審査します。
ーー大型犬と小型犬のカテゴリーは分かれていますか?
部門は分かれていませんが、体格や使用するボードに応じて補正ポイントを加味する形になっています。大きいボードに小さいわんちゃんを乗せる方が簡単で、大型犬の方が実は難しいです。
大会の様子と安全管理
ーー大会ではどのくらいの人が参加しているのですか?
マーボーロイヤルでの大会では、毎年「犬だけの部門」で16組、「飼い主と一緒に乗る部門」でも16組ほど。全国からエントリーがあり、広島や東北から来られる方もいらっしゃいます。大会に参加されなくても、ご自身で楽しんでる人は全国的にはいらっしゃると思います。
ーーお写真ではわんちゃんもウェットスーツを着用していますが、どのわんちゃんも着用するんでしょうか?
いえ、ウェットスーツは自由です。ただし、わんちゃんの安全のためにフロート(救命胴衣)はつけてもらいます
ーーわんちゃんの安全対策について教えてください。
わんちゃんには必ずフロート(犬用ライフジャケット)を着用してもらい、大会では複数のスタッフが海岸線に待機しています。落ちてしまった時にもすぐに対応できるようにしています。
ーー年配のわんちゃんでも参加できますか?
はい、13歳、14歳のわんちゃんも出ています。足腰がしっかりしていれば年齢は関係ありません。まさに人間と一緒ですね(笑)。
初心者でも始められる?スクールと体験
ーーこれから始めたい方はどうすればいいですか?
まずは飼い主さんがサーフィンをある程度できることが前提です。初心者の方は、最初は海辺で遊ぶところからスタートするのが良いと思います。JDSAではスクールも行っており、ホームページやマーボーロイヤルにお問い合わせいただければ、日程が合えば対応しています。
ーースクールのインストラクターは何名いらっしゃるのですか?
現在は5名です。コロナ禍の影響で活動が制限されていたこともあり、今は体制の立て直しをしているところです。
インストラクターを目指すには?
ーードッグサーフィンのインストラクターになりたい場合は?
JDSAにはインストラクター資格制度があり、実技を中心に審査します。わんちゃんと一緒に実際に海に出ていただいて、インストラクターとして適正があるかを在籍インストラクターが判断します。
ーー実技中心なんですね!
はい、なので座学を何時間受講したらなれる、というものではありません。まずはJDSAに問い合わせていただき、波に乗っていただいて、本当に大丈夫かどうかを既存のインストラクターが判断してから認定します。
ドッグサーフィンの魅力とは?
ーー改めて、ドッグサーフィンの魅力を教えてください。
私は大会では点数をつけるジャッジの方ですが、見ていると飼い主とわんちゃんの信頼関係がそのままサーフィンの動作に表れます。呼吸が合っている様子、わんちゃんの楽しそうな表情、それを見るだけでも本当に楽しいです。たまに脱走しちゃうわんちゃんもいて、見ているだけで和みますよ(笑)。
ーー体験会などはありますか?
大会終了後に、時間があれば希望者に向けた体験時間を設けています。ボードの貸し出しも行っているので、ぜひ遊びに来ていただきたいです。
今後の展望と読者へのメッセージ
ーー今後、JDSAとしての展望はありますか?
コロナ禍で地方に行く機会が減ってしまったので、今後は地方のイベントにも積極的に出ていきたいと思っています。地方大会の開催支援や体験機会の拡充を目指したいですね。
ーー最後に、ドッグスペシャリストナビ読者へのメッセージをお願いします。
ドッグサーフィンは始めるまでが少しハードルが高いと感じるかもしれませんが、実際に体験してみると「こんなに楽しいのか」と実感してもらえると思います。まずは大会を見に来ていただくのもおすすめです。ぜひ気軽に触れてみてください!
今回のインタビューを通じて、ドッグサーフィンは単なる競技ではなく、愛犬との絆を深めるユニークなコミュニケーションの場であることが伝わってきました。初めての人にとっては少し敷居が高く見えるかもしれませんが、実際には「まずは楽しむ」ことから始められるスポーツです。海という大自然の中で、犬と人が信頼関係を築いていく様子は、見ているだけでも温かい気持ちになります。大会や体験会を通じて、ぜひ多くの愛犬家の皆さまにもこの魅力を知っていただきたいと思います。
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