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INTERVIEW

インタビュー

一般社団法人ペットフード協会 事務局長
山本 敏城

犬と暮らすことが、あなたの人生を豊かにする―愛犬との新しい未来

 

「犬を飼うことは、人を幸せにする。」 そんな言葉を、真っ直ぐに届けてくれたのは、一般社団法人ペットフード協会の事務局長・山本敏城さん。ドッグスペシャリストナビでは今回、ペットフード業界に携わる山本さんにインタビューを実施し、犬を取り巻く現在の課題、そして未来への展望についてお話をうかがいました。

目次

日本ではなぜ犬が減っているのか?

現在、日本における犬の飼育数は約670万頭(2024年時点)。実はこの数字、2008年をピークに減少傾向にあり、世界の先進国と比べても非常に低い水準です。例えば、ヨーロッパ諸国の犬の飼育率は約20%程度ですが、日本ではわずか9%。先進国の中で最も低い水準にあります。

「共働きの家庭が増えて、犬の世話が難しいという声が多くなっています。住環境も変化し、ペット可のマンションが増えている。ライフスタイルが変わった今、猫の方が飼いやすいと感じる人が増えているんです」と山本さんは語ります。

また、20〜30代の若い世代がペットと触れ合う機会が少なく、飼育経験がない人が多いことも一因。過去10年で犬も猫も一度も飼ったことがない人は、アンケートの結果63%にも上るそうです。

動物と接することで得られる情緒的な学びや命の尊さは、実体験を通じてしか得られない部分があります。しかし、現代の子どもたちは、スマートフォンやゲームといったデジタル娯楽に囲まれており、生き物との触れ合いの機会が減っています。

「かつて学校には飼育係がありました。動物の世話を通じて、責任感や優しさが育まれていた。でも今では、親が意図的に体験の場を用意しない限り、動物とふれあうこと自体が難しくなってきているんです」

このような環境の変化もまた、犬の飼育数減少に拍車をかけていると考えられます。

犬と暮らすことで、健康寿命が延びる?

山本さんが力を込めて語ってくれたのが「犬と暮らすことの医学的・社会的な意義」です。

「疫学的な研究によると、高齢者が犬を飼っている場合、飼っていない人に比べて健康寿命が延び、介護費が4割減るというデータがあります。これは驚きですよね」

その理由は、犬と暮らすことで「散歩」という習慣が自然と生まれるから。毎日外に出て歩くことで運動になり、近所の人と挨拶を交わすことで社会とのつながりも感じられます。

さらに、犬と目を合わせて会話することで、オキシトシン(いわゆる“幸せホルモン”)が分泌されるという研究もあります。犬は私たちの心にもポジティブな影響を与えてくれる存在なのです。

また、赤ちゃんの時から 犬や猫と一緒に暮らすことで、喘息の発症率が低くなるという研究結果もあるそうです。犬との暮らしが、家族みんなの健康を支えてくれる存在になる──そんなメッセージを感じました。

さらに言えば、犬と暮らすことが「一人暮らしの孤独感」を癒してくれる効果もあるとされています。高齢化社会が進む日本において、犬はまさに“共に生きるパートナー”となり得るのです。

犬と社会のつながり──“地域の絆”をつくる存在

犬と暮らすことの価値は、家庭内だけにとどまりません。

「ペットは、地域社会の活性化にも貢献している存在です。隣人との親睦が深まったり、地域で行われるイベントや活動に参加するきっかけにもなります」

確かに、犬の散歩を通じて出会ったご近所さんと自然と仲良くなった経験のある飼い主さんも多いはず。ペットは、私たちに“つながり”を与えてくれる大切な存在でもあるのです。

また、地域によってはドッグランや犬のイベントを開催することで、町おこしの一環としてペットを活用する事例も増えています。犬を介して交流が生まれ、人の輪が広がる──それが地域づくりの力にもつながっていくのです。

高まるペットの価格、安全性への関心

近年、ペットの生体価格が上昇しています。その背景には、ブリーダーへの法規制の強化や、ペットフードの価格上昇など、業界全体の課題があります。

また、16年前にアメリカで起こった「メラミン混入ペットフード事件」をきっかけに、日本でも「ペットフード安全法」が制定されました。

ペットフード安全法を正しく理解し 安全・安心なペットフードを製造するための知識を習得するために「ペットフード安全管理者認定制度」を消費者が安心してペットフードを選べるように店頭で接客できるスキルを身に着ける「ペットフード販売士認定制度」をぺットフード協会では策定し、累積で約3000人以上が取得されているとのことでした。愛犬の健やかな食生を、ここでもスペシャリストが支えてくれています。

災害時に備える「クレートトレーニング」

「実は、災害時に避難所へ行くときに困るのが、犬をケージに入れられないケースなんです」

インターペットの開催期間に立志舎グループの学生たちが先生になって、皆さんとこのようなトレーニングを体験する企画を実施しています。実際、自分が飼っている犬をケージに どのようにすると入ってくれるのかと学ぶことで、災害が発生する前に対策ができますね。

普段からの準備が、大切な命を守るカギになります。

最後に──愛犬家へのメッセージ

「市販の“総合栄養食”とお水だけで、犬に必要な栄養は十分にまかなえます。つい与えたくなる“おやつ”は、与えすぎにご注意を。喜んで食べるからと言って与えすぎないようにしてくださいね」

そして何よりも大切なのは、「散歩をさぼらないこと」。

犬にとっても飼い主にとっても、毎日の散歩は心と体の健康をつくる時間。目を合わせ、会話を交わすだけでも、互いに幸せな気持ちになる──それが犬との暮らしの醍醐味なのです。

「犬は言葉を話さないけれど、目を見れば心が通じる相手です。飼い主が忙しくても、毎日目を合わせて、名前を呼んであげてください。それだけで犬の安心感がまるで違います」

取材後記

ペットフード協会が発信するメッセージは、犬を「癒しの存在」としてだけではなく、「社会と人間をつなげる存在」として捉え直す大きなヒントを与えてくれます。

今後、愛犬と暮らす家庭が増えることで、私たちの生活や地域が、もっと温かく、豊かなものになるかもしれません。犬とともに生きる未来を、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

ドッグスペシャリストナビでは、今後も犬と人が共に幸せに暮らすための情報を発信していきます。

編集者情報

ドッグスペシャリストナビ運営事務局は、愛犬家の皆さまに信頼できる専門家やサービスの情報を提供しています。

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