「ドッグスペシャリストナビ」は日本最大級の犬の専門家と愛犬家をつなぐポータルサイトです。

INTERVIEW

インタビュー

一般社団法人イヌなでホリスティック協会 代表理事
azi(あぢ)

わんちゃんと人の心をつなぐケアのかたち

愛犬との暮らしをより豊かに、そして安心して楽しめる社会を目指して。今回は、一般社団法人イヌなでホリスティック協会の代表、aziさんにインタビューを行い、協会立ち上げの経緯や、愛犬との生活を通じて感じたこと、そして今後の展望などについてお話を伺いました。犬との絆を深めるためのヒントが詰まった内容となっており、愛犬家の皆さんにとって、共感し、参考になるお話が満載です。

目次

「わんちゃんと暮らす」という選択が、人生の軸に

──本日は、イヌなでホリスティック協会の代表・aziさんにお話を伺います。まずは、わんちゃんとの出会いや、わんちゃんのケアに関わるようになったきっかけを教えていただけますか?

物心ついた頃から、4本足の動物が大好きでした。ハムスターなど小動物を飼ってはいましたが、わんちゃんを迎えたいと何度お願いしても、我が家は転勤の可能性がある環境だったため、許してもらえませんでした。 そんな中で、小学生の頃に近所のわんちゃんをとても可愛がっていたんですが、その子の飼い主さんと近隣の方との間でトラブルがあり、ある日、私が学校へ行っている間に保健所に連れて行かれてしまったんです。何も知らないまま突然その子がいなくなってしまい、私はただ呆然とするしかありませんでした。 あまりにもショックで、「人と動物が幸せに暮らすにはどうしたらいいんだろう?」 その出来事がきっかけで、そんなことをずっと考えるようになりました。

──その経験が原点になっているんですね。

その後は一度、銀行員として働きました。特にやりたかった仕事というわけではありませんでしたが、ペット業界に進むことには両親の反対もあり、どこでも通用する力が身につくと考えて、銀行を選びました。 結婚・出産を経て再び銀行に戻ったものの、どうしても気持ちが乗らなくて。このままでいいのかな・・・と感じながら、ある日、ロッカールームで何気なく金融雑誌をパラパラとめくっていたら、本当に小さな記事に「わんちゃんを癒すセラピスト」の紹介が載っていたんです。 「これだ!」って、直感的に思いました。 もちろんすぐに決めたわけではなく、1年ほど悩みました。でも、人生は一度きり。自分のやりたいことに正直になろうと思って、一歩を踏み出しました。

──そこから、ホリスティックという分野に進まれたのはどんなきっかけがあったんでしょうか?

ホリスティックというのは、「全体的に捉える」という意味があって、わんちゃんだけでなく、飼い主さんやご家族の心と体をまるごと見ていく視点を大切にしています。 わんちゃんが幸せになるためには、飼い主さんが幸せであることがとても大事です。 逆に、飼い主さんが安定していれば、わんちゃんのケアにも自然と心を向けられる。 だからこそ私は、わんちゃんと飼い主さんの両方をケアすることが本質的な幸せにつながると考えています。 その想いがあるから、「ホリスティック」という言葉をあえて名前に入れています。

「イヌなでホリスティック協会」で学べること

──協会ではどのような内容が学べるのでしょうか?

協会では、わんちゃんと飼い主さん、両方のケアを学べるようになっています。 メインは、わんちゃんのマッサージと、人とわんちゃんに使えるフラワーレメディ(※)の活用法です。

ーレメディ? 初めて聞きました。

そうですよね。基本的にアロマは香りを嗅いで使いますが、レメディは飲むタイプのものなんです。 もともとは人のために作られたものですが、わんちゃんにも安心して使えます。 心のバランスを整えるサポートができると言われていて、私は人にも、わんちゃんにも使えるレメディを必ずセットでお伝えしています。 というのも、多くの場所では「人だけ」「わんちゃんだけ」と分かれていることが多いんですが、私の中では「人と犬の両方をケアすること」が軸にあるので、どちらか一方ではなく両方を大切にしたいんです。

──レッスンは対面でしょうか?

認定講座は現在、全6回のオンライン講座と1回の対面講座(計7回)で構成されています。 さらに、個別セッションや、繰り返し学べるオンデマンド動画もご用意しています。 講座の最後 (8回目)には、対面での実技試験・筆記試験・レポート提出があり、合格された方には認定証をお渡ししています。 また、認定講座とは別に、対面でのレッスンやイベントも定期的に開催しています。 実際にわんちゃんと一緒に学びたい方や、現場での感覚を掴みたい方には、そうした対面の機会をご案内することもあります。( ※講座の構成や実施形式は、今後の状況に応じて変更となる場合があります。)

※フラワーレメディとは :フラワーレメディは、花のエネルギーを使って心のバランスを整える自然療法です。 感情の状態に合わせて選べる38種類があり、わんちゃんの「怖がり」「緊張しやすい」「落ち着かない」などの心のケアにも使われています。 ごはんやおやつに数滴垂らして与えるだけで、副作用や依存性もなく安心して使えるのが特徴です。 人と一緒に使えるので、飼い主さん自身のストレスケアにも役立てることができます。

活躍する卒業生たちと、現場のリアル

──卒業生の方々はどのような活動をされているのでしょうか?

卒業後は、対面やオンラインでセッションやレッスンを行ったり、イベントに出店したりと、それぞれのスタイルで自由に活動しています。 協会として中間マージンを取ることはなく、学んだことを活かして自分らしく発信・実践していける環境を大切にしています。 また、定期的に勉強会を開催したり、希望者と一緒にイベントへ出店するなど、卒業後も学びや活動の機会を共有できるようなつながりを大切にしています。

──aziさんご自身は、今どのような活動をされていますか?

イベントやレッスン、認定講座の開催を中心に活動しています。 最近は、「抱っこができない」「吠える」「怖がる」といったご相談がとても増えていて、マッサージやケアの前段階で悩んでいる方が多いと感じています。 地域によって傾向は少し違っていて、足腰が弱くなってきたシニアわんちゃんの相談が多い地域もあれば、比較的若くて元気すぎる子の扱いに悩む地域もあります。 中には、わんちゃんが怖くて吠えていることに気づかずに困っている飼い主さんもいらっしゃいます。 また、「マッサージって本当に必要なの?」という声もありますが、実際にふれてみると、わんちゃんの気持ちに気づけたり、飼い主さん自身が落ち着いたりすることも多いんです。 だからこそ、まずは「ふれること」「安心させること」から始めてほしいと思っています。

わんちゃんの行動の奥にある「声」を聞く

──そのようなお悩みにどう対応されているのですか?

そんな時には、まずは飼い主さんと一緒に、わんちゃんの状態を丁寧に見ていくところから始めます。吠える・怖がるといった行動を細かく分けて「本当の理由」を探るようにしています。 たとえば、同じ「吠える」でも、構ってほしくて吠えているのか、怖くて吠えているのかで、対応はまったく違ってきますよね。 私自身はトレーナーではないので、必要であれば「トレーニングを受けてみてください」や「一度病院で相談してみてください」と、その子の状況に合った専門家をご紹介するようにしています。 レメディやマッサージが助けになるケースももちろんありますが、状況によっては専門家と連携しながら、その子にとって最適な方法を選ぶことが大切だと考えています。

フラワーレメディという選択肢

──レメディはどのような流れで使うのですか?

まずはセッションの中で、わんちゃんや飼い主さんのお悩みを丁寧に伺います。 その後、マッサージをしながら体の反応を見て、わんちゃんの今の状態を感じ取っていきます。 最後に、マッサージのポイントをお伝えするとともに、飼い主さん用とわんちゃん用、それぞれに合わせたレメディを30mlでブレンドしてお渡ししています。

──aziさんがレメディを知ったきっかけを教えてくださいますか?

マッサージを学んでいた頃、友人にレメディのことを教えてもらったのが最初のきっかけでした。 でも正直、最初は「怪しいかも。」って思っていました(笑)。 その後、たまたま体験会があって、自分で使ってみたら、なぜか不思議とわんちゃんに関するご相談をいただくことが増えてきたんです。 多分、自分が気がつかないうちに、何かしらの変化を起こしていたんだと思います。 それで子どもにも使ってみたところ、良い変化があって、「これは本当に作用があるかも」と思い、うちのわんちゃんにも試してみたら、こちらも良い反応がありました。 そこから本格的にレメディを学ぶようになりました。 当時はまだ、「わんちゃんにもストレスがある」「人と犬、両方をケアすることが大事」と伝えても、なかなか理解されない時代で、しばらくは自分だけで静かに使っていたんです。 でも、東日本大震災(3.11)のあと、緊急地震速報に反応してパニックになるわんちゃんが増えてきて、その頃からレメディに関心を持つ飼い主さんが少しずつ増えてきたように感じています。

「ふれる」ことが生む、わんちゃんとの信頼

──読者の方に、自宅でできるセルフケアについても教えていただけますか?

わんちゃんにやさしくふれることで、私たち自身もリラックスできます。 マッサージの時間は、わんちゃんのための特別な時間です。だからこそ、飼い主さん自身も心を落ち着けて、「今ここ」の感覚でわんちゃんと向き合うことが大切です。 実は、わんちゃんはとても繊細で、飼い主さんのストレスを敏感に感じ取っています。 だからこそ、触れる前には一度深呼吸をして、自分の緊張やイライラを少しでも手放してからふれるようにしてあげてください。 「さあやるぞ!」と力が入ってしまうと、その気迫がわんちゃんにも伝わってしまいます。 できれば静かな時間と空間をつくって、ゆっくり、ていねいにふれることを心がけてみてください。 副交感神経が優位になって、わんちゃんも飼い主さんも自然と落ち着いてきます。 今はストレス社会とも言われていて、ゆっくりした時間をとるのが難しい人も多いと思います。 でも、わんちゃんと暮らすということは、私たち自身の心と体も整えていくことがとても大切なんですよね。 そうやって毎日の中に小さな「幸せな時間」を積み重ねていくことで、 限られた時間しか一緒にいられないわんちゃんたちと、最後まで穏やかに過ごしていけたら・・・と願っています。

1日1秒でも、しあわせな時間をわんちゃんと

──印象に残っているエピソードはありますか?

はい、いくつかあります。 その中でも特に心に残っているのが、あるイベントで出会った親子のことです。 会場で、私のことをじっと見つめている親子がいて、後からそっと話しかけてくださいました。 そのご家族は、とても怖がりな保護犬を迎えていて、外に出るのも難しいため、「イヌなで」のレッスンには参加できなかったそうです。 それでも「何かできることはないか」と、私の本を手に取り、ご自宅で少しずつ実践してくださっていたとのことでした。 そのケアがその子にはとても合っていたようで、心が落ち着き、ご家族との絆も深まったと話してくださいました。 その子はすでに天国へ旅立っていましたが、「本当にありがとうございました」とおっしゃってくださって・・・ 私も思わず涙がこぼれました。一番大切なのは、愛犬を想う気持ちと、実際に行動にうつすことなんだと、あらためて感じた出来事でした。

──その本で救われたわんちゃんと飼い主さんがたくさんいらっしゃるんですね。

そうであったら嬉しいです。難しい解剖学などは省いて、誰にでもできるようにつくったので、とても報われた気がしました。

【書籍名】イヌなで: aziさんの幸せになる犬マッサージ

愛犬家の皆さんへメッセージ

実は私自身も、現在は大学で「人間科学」を学びながら活動しています。 わんちゃんと暮らすことは、人の都合に合わせてもらっている側面もあります。 だからこそ、安心して過ごせるように寄り添う努力は、私たちの責任でもあると思うんです。 1日の中で、少しだけでも 「わんちゃんのためだけの時間」 を持ってもらえたらうれしいです。 その想いで、マッサージやレメディをお伝えしています。

 

編集後記

aziさんのお話からは、わんちゃんへの愛情と共に、飼い主自身の心身のケアの大切さが伝わってきました。わんちゃんと人がともに幸せに生きるための「ホリスティックケア」。それは技術以上に、相手を想う「気持ち」から始まるのかもしれません。

編集者情報

ドッグスペシャリストナビ運営事務局は、愛犬家の皆さまに信頼できる専門家やサービスの情報を提供しています。

TOP